社内ネットワークを冗長化構成で再構築しました
耐用年数を超えたネットワーク
私が勤務している職場のネットワークは、建屋の工事の後、かつていた社員たちがDIYで敷設したいわば「大規模のホームネットワーク」でした。当時としては新鋭のCat.5Eをふんだんに使用して、最長100mを超える敷設距離での接続までしてありました。
当時の職人気質の社員たちは自分たちで構築することを誇りに思っていたことでしょう。私自身もSEとして尊敬に値すると思っています。一人ではできませんので、プロジェクトマネジメントに近い感覚でそれが行われたことは、想像に難くありません。
マイナートラブルの温床
設計書もない、設計者もすでにいない、そんな、兵どもが夢の跡となった今、残されたネットワークはブラックボックス化し、陳腐化・老朽化したネットワークとしてマイナートラブルの温床となっていました。
トラブルの頻発に備えるためには、まずは物理構造を把握しておく必要があります。手始めに、現状の概要設計を起こすことから始めることにしました。しかし1本ずつケーブルを抜いて、物理結線図を書いていくには途方もない工数がかかります。ネットワークの見える化が課題となりました。
そこで、各所に設置されたスイッチをYAMAHA製に置き換え、LANmap機能を用いてブラックボックスの解消を目指しました。結果として相当数のYAMAHA製スイッチを確保する必要がありましたが、大まかな構造を把握するには十分に活用できました。
どのようなネットワークを構築したいか
現行のネットワークの物理構造がわかったので、幹線の設計を行います。具体的には、すべてのフロアスイッチの最上位から、インターネットやサーバー側に抜けるネットワークを結ぶコアスイッチまでです。ホームネットワークであれば、この幹線は1本で十分であり、また既設配線も1本で結んでありました。
例えばこの幹線が1本断線すると、そのフロア配下すべての端末が通信できなくなってしまいます。そこで、今回は冗長構成をとることにしました。また、増えたユーザー数や帯域需要に対応するため冗長ケーブルすべてを分散利用するものにしたいと考えました。技術的には、リンクアグリゲーションがそれに該当します。2本以上のケーブルを利用して、それぞれのケーブルに分散してデータを流します。分散方式によって変わってきますが、論理的には2本なら最大2倍の速度、3本なら最大3倍の速度といった具合になります。このうち一本が断線しても、接続が切れることなく残りの線で運用が可能です。
リンクアグリゲーションを利用して、冗長性を確保し、かつ混雑に強いネットワークを構築する
今回はリンクアグリゲーションを用いることにしました。本当はスパニングツリープロトコル(STP)を利用してみたかったのですが、構築を委託する業者からは万が一の時にループになる恐れがあるとして、お勧めされませんでした。
リンクアグリゲーションによって、1Gbpsを2本ずつ、論理値2Gbpsの幹線として設計しました。
各種設定値を決定
今回導入することになったスイッチは全部で18台でした。それぞれの設定値を決めていきます。と言っても、VLANは今回設定しませんので、大したことありません。具体的には以下の項目です。
- ホスト名
- IPアドレス
- ポート収容方式
- NTP、DNS、etc
とまあ、大した手間のかかるものではありません。ここでVLANやルーティング等が入ってくると複雑になってきたりしますが、将来的に実施するとしても現段階ではやりませんでした。
ポート収容方式については今までルールもなかったので、ネットワーク機器は老番から、クライアントは若番からを原則としました。
実際に配線
配線作業は建屋内の天井裏などを導線するため、配線ルートの設計や確保などはすべて業者に依頼しました。設計のための下見段階で業者が確認したポイントを確認し、今後DIYでできる範囲の作業では参考にさせてもらいます。
配線作業と機器設置作業が終わり、幹線切替を最上位のスイッチで行い、完了です。
終わりに
今回は自分が実作業に参加することなく、基本設計のみで実作業はやりませんでした。しかし参考にする点は非常に多かったと思います。
余った配線の処理、長さへの考え方、ポート収容、配線ルートの探り方などなど。有線は見えており、VLANも使用していないため「大規模ホームネットワーク」の枠は出ていないと思いますが、今後の糧になったと思います。近い将来にVLANを構成していくことになると思うので、その仕事についても計画段階からまとめていきたいと考えています。
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