高級キーボード市場は今は成熟期にあり、無数の選択肢があるように思えます。その中でも息の長い一つの勢力として名高いHappy Hacking Keyboard(以下:HHKB)を8年ほど使ってきました。
しかし8年も使っていると、当たり前になり過ぎていて、魅力がわからなくなってくる面があると思っています。
そしてデメリットが少しだけ気になってきます。
そんな中、ダイヤテック閉業のニュースが流れ、心の隅っこで引っかかっていたことがうずき始めます。
- メカニカル未履修
- 老舗FILCOも未履修
- 60%キーボードの他社製品の使い心地
結論としては、HHKBに戻ることにしたのですが、同じような境遇で、浮気症のHHKBユーザーがもしいましたら、参考に慣ればと思い記事にすることにしました。
転機:ダイヤテック廃業で“保留”が崩れた

ダイヤテックといえば日本国内では東プレ、PFUと並び、高級キーボード市場を作り上げたFILCOブランドを抱える企業です。そんな会社が廃業となれば、今後入手困難になっていくはず。
そんな思いが私を急激にFILCOのもとに手繰り寄せました。
もちろん、今までも何度もMinila-Rは検討はしてきました。コロナ禍でハイブリッドワークが当たり前になってきたとき、高価なHHKBを持ち歩くには少し抵抗があったため、同じ60%キーボードのMinilaシリーズを考えたりしていました。結局、その当時は、「もう一つHHKBを買う」ということで解決してしまったりしていたわけですが。
いずれにせよ、今後入手困難になっていくキーボードを手に入れるのは今しか無いと、HHKBのTypeーSに相応するであろう、静音赤軸のモデルの中古未使用品を購入しました。
実際に使ってみた:期待と現実のギャップ

まず最初に結論から。
HHKBとMinilaは似て非なる
ええ、違いますとも。まるで違う。
ジェネリックHHKBではない。
配列はむしろそれはそれでいいとは思う。マッチする人にはマッチする。60%キーボードは配列で差別化している部分はかなりあると思っているので、HHKBに寄せる必要もないでしょう。
配列以上に困るのはMinilaはシリンドリカルステップスカルプチャではないというポイントが大きいと思われます。Minilaは数字列が妙に遠い。指の運動量がHHKBと比べると数mmぐらいの差がありそうだけど、精神的には1cmぐらい離れている感じがする。ノートPCならば、当然シリンドリカルステップスカルプチャではないのに、ノートPCよりMinila-Rのほうが遠い気がする。何故だろう。
と思って、横から撮影してみたものの、指の緊張状態にあまり違いはない気がします。


ただ、数字キーを打とうとするとき、手前のキーが指に近いかどうかは結構違っているようにも見える。HHKBのほうが、狙っていないキーに指が当たりにくい造りになっていることがわかります。
つまり、遠いのじゃなくて、余計なキーに指が当たらないように気遣うから遠く感じるということですね。
3-1. リニア軸の“虚無感”
最近だと市場をざっと見てみると、リニア軸がほとんどを占めるように見えます。MX軸も数多の互換品が存在していて、クリームだの海だの、多種多様だけども、その多くがリニア軸をベースにしたものになっているようです。多くのユーザーがリニアを求めているのでしょう。
でも、高級キーボードに静電容量無接点方式で入ってきて最適化されてしまった人間としては、どうにも手応えのないスポンジを押しているような気になってしまい、物足りない。それでいながら底打ちしたときの硬さも気になります。

もちろんそれによって、ミスタイプが減るとか、入力が早くなるとかもあるかもしれないけど、HHKBを選んでいる理由には間違いなく打鍵感も大きなファクターで、それが欠けるようであれば、必要となる性能の一つがないということになってしまいます。
3-2. 軸ブレの違和感
軸のブレ感も気になる。HHKBやRealforceは軸の遊びが少ないのか、軸の剛性感が高いのか、押下するエネルギーのすべてがキーの沈み込みに使われていて、無駄がない気がするのに対し、Minila-Rは軸方向以外にスイッチがガタつくエネルギーがある気がする。特に底に打ち切ったときほどそう感じます。
リニアだから余計にその軸のブレがダイレクトに指に「雑味」として伝わってきます。
3-3. 配列は意外と問題ではなかった
HHKBの日本語配列には一つ大きなクセがあって、Zの段が、左に少しオフセットしています。
Zの段は本来であれば、Aの段から0.5キーずつオフセットしているはずが、HHKB日本語配列だとそれがやや左に偏る形になっています。
ただこのずれは、最近だと結構メジャーになっていて、60~70%キーボードの日本語配列だと結構なモデルで見られますので、HHKB日本語配列だけのクセではありませんが。


パソコンに最初から搭載されているキーボードや、付属のキーボードの場合、Minila-Rのほうがオフセット量としてはちかいのですが、だからと言って、特段困るようなことはほぼなく、これはどちらでもいいのかもしれません。特に私の場合はですが。
4. 得られた経験値:自分が求めているものが見えてきた
キーボードはスペックや写真でいろいろな情報が確認できますが、実際に触って入力してみるまで、その素性のほとんどがわからない状態なのかもしれません。
「このスペックであれば、きっと自分に合うキーボードだ」と思ってチョイスしても、実機を実際に触ってみるとなると事前の印象とは大きく変わっていしあうからです。ただ、そこには「慣れ」という要素も無視できないため、沼にはまる人が多いのでしょう。
今回のMinila-Rトライによって、メカニカルのリニア軸が自分に合わなくなるほど、HHKBのタクタイルに自分の感覚が最適化されているとは知りませんでしたし、Z段のオフセットが実は大した話ではなかったというのも大きな発見でした。

ただここで、「じゃあ茶軸は?茶軸はいけるんじゃ?」とかいう沼からの呼び声も聞こえてくるようになりました。
茶軸であれば、タクタイルですし。
Z段のオフセット量に関しては、どちらにしても影響がないことはわかったけども、ノートPCの標準のキーボードもよく使う人間としては、ちょっとだけまだ気になっています。
5. 次のステップ:茶軸への仮説と Majestouch C3 へ
HHKBである程度満足しているなら、やはりほかのキーボードへの浮気はあまりしないほうがいいかもしれません。迷走という名の沼に、ずぶずぶと沈みに行く未来がちらついています。
とはいえ、もう茶軸について気になり始めてしまったので、購入したらまた比較レポートを書こうと思います。
「もう、(HHKBで)ゴールしてもいいよね」が確からしいことを確認するために。

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