MINISFORUMのUM480のコスパがぶっ壊れているレベルだったのでたまらず投稿します

円高、円高、円高、コロナ禍で、PCを買うにしても「今はやめておいたほうがいい、時期が悪い」と言わない人がいないんじゃないかという状況ですが、それでもPCが勝手に生えてきてしまうときは生えてきてしまうものです。困ったものです。同じお悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。

数年前からですが、ミニPCという分野がにわかに盛り上がっていると聞きます。よく1リットルPCなどとも呼称されています。私が個人的に波が来たなと思ったのは、レノボのThinkPad E495激安祭りがあった後、ThinkCentre M75q-1の激安祭りがあったころからかなと思っていますが、界隈の方から見れば、もう少し前にさかのぼるかもしれません。大手代理店のリンクスインターナショナルさんも、取り扱いはもう少し前からでしょうかね。知らんけど。

何より、私のようなPCを30年ほど使い続けている人からすると、「あの小ささでこのスペック!」というだけで、心がざわついてきて、三日三晩は買おうかどうか悩むものだと思っています。それくらい、小さくて高性能というのは、無条件に揺さぶりをかけてきます。

そんなカテゴリーで近頃ひときわ目立つ名前とすればMINISFORUMではないでしょうか。ブランド名がまさに小型PC特化のそれで、ほかにも似たような製品を出してきているメーカーは新興老舗問わず、多数あるようですが、日本で正規代理店と契約をして販路を確固たるものにしているという存在という意味でも、このブランドが世界的にも一目置かれていると判断してもいいかもしれません。

さて、あまりに自分の買い物を正当化したくていろいろと語ってしまいましたが、今回は、そんなMINISFORUMから発売されている、UM480を購入してしまったので、せめてもの懺悔として、このレポートを上げていこうと思います。

レポート機スペック(UM480)

まずはおさらいします。

ベアボーン完成PCモデル(参考)
CPURyzen7 4800U
GPURadeon Graphics
メモリ非搭載8GBx1、8GBx2、16GBx1、16GBx2
ストレージ(NVMe)非搭載128、256、512GB
ストレージ(2.5in)非搭載
Wi-Fi搭載搭載
映像出力HDMI(4K60Hz)x2、USB-C(4K60Hz)
音声出力HDMI、3.5mmジャック
インターフェース2.5G-LAN、USBーAx4、USB-Cx2
電源ACアダプター

今回購入したモデルは、メモリー、ストレージ、そしてそれにインストールされるOSを持たないベアボーンといわれる類のものです。多くの場合、ベアボーンにした場合、原価と組み立て工数が削減されるため、コスパに優れると思いますが、それは「ベアボーンとして開発、販売されているものに尽きるのかな」と、この製品の購入を検討しているころ思いました。有名どころでは、ベアボーンを発売している老舗Shuttle社や、ここ2年ほど最近のASRock DeskMiniシリーズなどは、そのコスパの高さから人気を獲得しているように見えます。

なぜタイトルにまでつけて、冒頭まで熱く語ったのに、ベアボーンとしてのコスパは他社に譲るような書き方をしたのか。根拠としては、完成品モデルのものと比較して、ベアボーンにした際の減額幅が少なかったからです。なので、特殊な事情でもない限りは、ベアボーンを選択する必要はないかなと思います。

しかし、多くの家庭にはSSDやら、メモリーやら、そういったものがたくさんあると思いますので、それらの遊休資産を有効活用しつつ、導入コストの絶対値を単純に圧縮するという意味では、MINISFORUMのベアボーンを選択する価値が減額幅以上にあると思います。

外観

開封!

外観を見ていきます。およそ39800円とは思えないようで、しかしその値段の説得力のある質感です。大手メーカーのスチール製シャーシと違い、プラスチック製の筐体です。それでいながら、安っぽく見えないようにする工夫は、十分に検討を重ねたんじゃないかなと思える出来でもあります。一口に言えば「悪くない」という感じ。

インターフェースはこんな感じ。ここでお気づきの方もいらっしゃると思いますが、電源は専用のACアダプターです。上位モデルのUM560、UM580にはType-Cによる給電のようですが、そうではないところが最大の違いといえるでしょうか。当然、UM480の充電コネクターにはディスプレイ出力機能はありません

正面
向かって右側面
背面
向かって左側面

サイズは、どこのご家庭にもあると思われる2.5インチHDDと比較してみることにしました。

内容物はこんな感じ。小さい箱に全部入ってるあたりはちょっとした驚きがありました。しかしACアダプターは専用品だけあって、大柄かつ、安っぽいです。ザ・中華という感じで、大きいのになんか違和感を覚える軽量感です。質感もプラスチッキーで、なんとまあ。とにかく手に取ってみてもらうとわかると思います。

USB Type-Cの有無について

さて、UM580・560シリーズとの最大の違いである、USB-C給電機能ですが、これがあると無いとだと、何が違うのか。

本体だけを持ち歩き、モニター、キーボード、マウスがつながれたドックの間を行き来するワークスタイルがかなえられなくなるというところが一番大きいかと。私は実際にそのような運用をしたことも、している人を見たこともないのですが、ミニPCのうたい文句として、PC本体だけを持ち歩き、自宅やオフィスにあるそれらの機器と接続してハイブリッドワークを実現するみたいな使い方だとしたら、専用ACアダプター必須という要素は厄介な存在となるでしょう。

ましてや、それがチープであるなら、持ち運ぶたびにダメージを受け、半年ごろには接触不良とか起こしていそうな気がしたり。

小さいことではありますが、運用次第では致命的な差異となりえます。

組み立て

いよいよ組み立てていきましょう。

まずは蓋を外していきます。ベアボーンなのに、すでにゴム足がついている。これもまた、完成品をベースとする製品である証でしょうか。これをはがさないと組み立てができないのに、ついている。

はがした後は、4本のねじを外していきます。

左上、はがすの失敗

ねじが外れたらカパッと開くかと思えば、これがまたちょっと思想の読めない爪固定。割れそう感のある蓋なので、ちょっとこれは神経を使いましたし、やめてほしいなと思った設計ですね。ネジあるんだからいらないだろ。

蓋が外れました。裏側には肉抜きされた金属プレートがあり、ここには2.5インチストレージのベイの機能が持たされています。

こういう特殊な筐体のPCは、マニュアルに従うに限ります。結果的にはマニュアルに従うことなく、必要パーツを搭載できる構造でしたが、従っていきました。

メモリーはこれを使います。CRUCIALは何となく安心感がありながらも安いので選びがちです。CFD正規品なのも手伝っているかもしれませんが。

斜めに奥までぐっと差し込み、倒してロックします。

メインストレージとなるNVMeSSDはこちらを使います。何かのノートPCから取り出したWD製。こちらもなんか安心感があります。HDDメーカーなので、OEMでしょうが、WDといえばここ数年信頼されているメーカーだなと思うことが多いですね。実態はよくわかりませんが、少なくともSeagateより「WDが好きだ!」と明言するユーザーが多い印象です。いわゆる信者。私はストレージ無神論者なのでどこでもいいです。

これも特に注意することなく搭載していきます。でも、静電気ぐらいは気を付けて。あっ、ネジを先に外しておくのもお忘れなく。

ネジを先に外す
斜めに入れて、倒してねじ止め

こういう小さいものはフル搭載したくなりますよね。当然どこのご家庭にも大量に2.5インチストレージが余っているでしょうから、有効活用していきましょう。これもWD製。

2.5インチストレージは専用のケーブルが付属しています。向きが分かりにくかったり、パチンとはまる感じしなかったりと、不安の残るつくりではありましたが、梱包だけは妙に丁寧でした。専用の端子カバーなんかもついていて。

向きはこのような感じです。NVMeSSDをまたぐように配線します。

謎のカバーを外して、SSDを接続します。向きはちょっと悩みましたが、以下の通りであれば搭載にも困らないかと思います。

2.5インチストレージのベイは蓋の裏側にあります。鉄板を折り曲げただけの簡単設計ですが、まあ十分でしょう。若干歪んでいてネジ穴が合わなかったので、指で力を入れて形を補正はしましたが。

あとは元に戻していき、もともとついていたゴム足をつけるだけです。

使用感

ベンチマークやらはRyzen 7 4800Uノートのそれとほぼ同等と思われるのでそちらを見ていただければ、データはたくさんあると思います。驚いた…というほどでもないですが、静穏性は非常に高く、同CPUを搭載したノートと比べたら高音が耳につくことのない音で、非常によくできたファンだなと思いました。

これがゲーム中でもそこまでうるさくならないところも好印象でした。とはいえ、7年ぐらい前のFPSの低画質設定とか、インディーゲームの軽量なタイトルしか所有していないため、その範囲ですが。

実際に設置してみると、裏側にケーブルが3本並ぶ点だけはちょっと気にはなりました。ここまでType-Cが普及して、Alt Modeを使って給電と画面出力が1本でできるとなると、HDMI、電源、LAN(WiFi内蔵なので刺す必要はないですが有線が好きなので)が刺さってると、筐体が小さい分目立つなといったところ。

USBポートも少なく、前面にType-AがないのもUSBメモリを指してOSインストールする際にはちょっと不便だったかなと思いました。まあこれらはハブで解決できるので、大きな問題ではないでしょうけど。

パフォーマンスに関しては、モバイルとはいえ、旧世代とは言えRyzen 7だけあって、とても快適です。

総括して

コスパコスパと口を開けば街中でも聞こえてくるこの言葉、それについて言及することさえ抵抗を感じる昨今ではありますが、しないといけない価格設定と内容なので、あえて言いますがコスパは非常に高いと感じました。買った後にUM560、UM580との決定的な違い(USB Type-C給電)に気づき、ここだけちょっと後悔していますが、メインPCになれるだけの素養を持った格安PCだと思います。

良かった点🙂

  • 4万円を切るベアボーン構成の圧倒的安さ
  • なのにメインで使えてしまう高性能
  • ゲームも設定次第で多くのタイトルがプレイ可能
  • ファンは静か
  • ネットワーク周りのパーツが非常にリッチ(下記補足)

イマイチな点☹️

  • USB Type-C給電はUM560とUM580のみ
  • ストレージケーブルが分かりにくい
  • 最初からついているゴム足
  • 蓋の謎のツメ

コスパがぶっ壊れていると感じた点

この製品は、旧世代のCPUを使うことによってそのコスパを達成させているんだろうなということが、ラインナップ見ているとわかります。どこかの大手メーカーで作りすぎてしまったり、売れ残ったノートPCに搭載されていたものを使ったりしているのではと勝手に推測はしています。

ただ、それだけでは説明がつかないほど、ネットワーク周りでリッチなパーツが使われており、どうやってこのプライスタグを実現しているのか不思議でなりませんでした。

UM480のデバイスマネージャー画面

この有線ネットワークコントローラー、2.5Gなんですよね。スペックシートみればそりゃわかるだろって思いますが、何よりエンタープライズでも使われるIntel製。普通だったら、Mediatekだとか、Marvellだとか、QUALCOMMだとかが搭載されていても不思議じゃないと思うんですが、全員が使うとは限らないLANコントローラーにこの製品を載せてくるのはある意味頭おかしいですね。マイクロサーバーとして使ってほしいと開発者は考えているのではないでしょうかね?

価格帯から考えればコンシュマー機なのですが、ドライバの更新が安定してあるという点が他社にはない大きなメリットになります。これは今後、Windows11が枯れていっても、使い続けたり、果てはWindows12(あるかは知らんけど)が出た時にも、ドライバがサポートされるという可能性すら秘めています。ここにこのミニPCがただのコスパで語れない重要な要素が集約されていると感じました。

で。で!でだよ!これだけでは終わらないんですよこのマシンは。

市場に出回っている多くのPCが、

「有線は頑張りました。無線はローエンドにしてあります。」
「無線は頑張りました。有線はまー誰も使わないっしょwwww」

みたいなPCなんですよ。これはノートから有線LANポートが消えているのを見ればわかると思います。

なのに!なのに!この製品は!無線もハイエンドなんだよ!!!

AMDの、Wi-Fi 6E対応の、RZ608なんですよ。Wi-Fi 6E対応なんですよ。

日本では先月ぐらいに対応製品が始まったばかりの。最大通信速度は2402Mbpsにも達します。

もうね、おかしいよ。おかしい。この製品は誰がターゲットなの??この価格帯のPCを買う人に、それを求めたり、期待する人いるんですかね!?

この頭おかしい、でもロマンにあふれ、開発者の異様なこだわりが詰まっている小さな箱を、皆さんも購入して「頭おかしい!」を共感していただければというところで、今回のレポートを終わろうと思います。