YAMAHAのゲーミングミキサーZG01いまさらレビュー
コロナ禍を経て、インターネットを介して友達とゲームをすることも、今や一般的になったといえるでしょう。Nintendo Switchでお好みのボイスチャットプラットフォームを使ってそれを実現しようとすると、若干ハードルが上がるのも、周知の事実といえます。そんな中、私も環境を整えていくうえで、試行錯誤をし、今の環境が最適といえるところまで出来上がったので、レビューすることにしました。
対象となる人
ZG01を検討している方
ZG01で配線・設定に悩んでいる方
ゲーミングミキサーを検討している人
ZG01に至るまで
ヤマハからリリースされているゲーミングミキサーです。実況系のミキサーは多数に上りますが、主にコンシュマーゲーム機に向けられて設計されているという点では、そう多くない機器のジャンルになると思います。
私自身もこの機器に至るまで、3回ぐらい構成を練り直しました。
最初はありものだけで構成したので、ヘッドホンとイヤホンを同時に装着するという荒業をしたりしました。
その後は、ミキシング機能を内蔵したロジクールG933sを購入してNintendo SwitchにUSBで接続、ボイスチャットはアナログ3.5mmプラグでPCやスマホを接続して使っていました。
この構成は特に不満もなく、ヘッドセット自体の性能も安定しており、実況をしなければ最適解の一つだと思います。イヤーパッドが汗で加水分解したり、電源スイッチの接触が悪くなることを除いては。
ZG01を選択した理由
そんなわけで、電源スイッチが接触が悪くなったり、イヤーパッドがボロボロになったG933sの次を探し始めました。
そもそも2年前(2022年)でミキサー市場がまだ成熟しきっていなかったころ、あまり大手からゲーミングミキサーなるものが多く出ていなかったと思います。そんな中で、下記の条件を飲み込める環境といえば、これしかなかったと思います。
- Nintendo Switchの音声信号から、立体音響情報をもって再生できるもの
- ボイスチャットとミキシングできるもの
- もし実況する気になったらすぐできるもの
コンシューマーゲーム機で実況やVCありのオンラインプレイをする場合にはZG01の基本機能を生かして対応可能です。また実況をする際にはZG01にキャプチャーを追加するだけで対応できます。
立体音響というところが結構鬼門で、「Nintendo Switch リアルサラウンド」なんてキーワードで検索すると、諸先輩方の苦労がたくさん見つかります。機器も多く、配線も複雑、内容と目的を理解しておかないと、構築すらうまくいかないかもしれないような構成になっています。
しかし、ZG01があれば比較的簡単な配線で完結できます。何より、ルーターや楽器、音響機器でYAMAHAを選んで失敗しないか心配する人はいないでしょうしね。
ZG01を中心とした環境構築
ZG01を導入するにあたって、音声周りを全部一新しました。せっかく高い買い物をするので、最大限生かしていきたいですしね。機器の結線は以下の通りにしました。モニターは1台で共有するので、セレクターも入れています。これを見ると、いくらミキサーでシステムが簡略化されるとはいえ、十分複雑ですね。

ZG01はワイヤレスイヤホン・ヘッドホン・ヘッドセットに対応していないため、アナログ信号を改めてBluetoothに変換する必要がありますが、これはあまりお勧めできないです。私自身が音声遅延にこだわりがないため、問題になっていませんが、遅延がないわけではないので、FPSなど音情報で勝敗が左右されるようなゲームの場合、アナログで直につけるほうが良いと思います。
ZG01はHDMI信号がサラウンド信号の場合、通常のヘッドホンでもバーチャルサラウンド化して出力されますので、リアルサラウンド同等の音声没入感を味わうことができます。ヘッドセット、ヘッドホン、イヤホンはそれなりのものであれば、コストを削減することもできると思います。ある意味、音の出口は消耗品ともいえるので、都合がいいかもしれません。
設定も複雑
マニュアルを読めば、大体は問題ないと思います。標準的な設定は以下の通りなので、まずは標準的な構成と、下記の設定で使ってみるのがいいと思います。私も2年ほど使っていますが、以下のままです。
音声出力 | マイク入力 | |
Windows | スピーカー(YAMAHA ZG01) | Voice(YAMAHA ZG01) |
ボイスチャットソフト (DiscordやLINEなど) | Voice(YAMAHA ZG01) | Voice(YAMAHA ZG01) |
対して、ストリーミングプラットフォームは以下の設定です。
映像入力 | 音声入力 | |
Youtube Studio | キャプチャデバイス | Streaming(YAMAHA ZG01) |
ストリーミングプラットフォームは、「ちょっとやってみようかな。友達と遊んだ時の記録でもいいし。」という程度の温度感で選定しているものですので、おそらく本格的に実況するのに向いていません。というのも、Youtube Studioは音声に関して圧縮がかかり、非常に音が悪いです。Windows標準のカメラアプリを使って、機器自体の音声が問題ないかどうかは確認済みです。その際の設定は以下の通り。
音声出力 | マイク入力 | |
Windows | スピーカー(YAMAHA ZG01) | Streaming(YAMAHA ZG01) |
カメラアプリ | 設定不可(Windowsに従う) | 設定不可(Windowsに従う) |
カメラアプリはWindows標準ですので、Windowsのシステム設定に倣い、録画してくれます。あくまでローカルでの動作確認などの時にしか使わないと思いますので、検証が終わったら元に戻しておきます。
設置場所に悩む
ミキサーは配線が集中することから、設置場所次第ではケーブルがたくさん見えるものになります。私はそれが嫌だったので、机の下に吊り下げ式のトレイを設置して、そこに置いています。HDMIケーブルの経路が非常に長くなったりしますので、ゲーム機やPCとの設置場所との相談が必要になります。参考までに私の机周りの物理的な配置を、簡略した図を置きます。

HDMIケーブルだけでこの本数と長さになります。Nintendo SwitchからZG01までのHDMIケーブルは3mのものを使っています。
全機能を使い、その性能や品質を生かすためには気力と費用が必要
もともと、この機器がストリーマー向けで考えられていることから、「実況するぞ。収益化していくぞ」ぐらいの覚悟がないと、オーバースペックになります。私は「ボイスチャットをミキサーして、かつ、サラウンドのゲーム音声で遊びたい」という欲求をかなえるためにこの機器を選定しています。それで十分元が取れたと思っているので、あまりストリーマー向け方向の資産価値は生かし切れていません。
なので、「全機能使わないのにもったいないな」というところに帰結してしまう方には、それなりの覚悟が必要になると思います。ただ、外付けサウンドカードと同じ役割も果たせるので、音楽鑑賞に関してもノイズが少なくなる分、幾分か内蔵サウンドカードよりは、いい音になっている気もします。
結論として以下の二通りのユーザーに最適だと思いました。
- ゲーム実況で、いずれは収益化を目指したい。
- サラウンドを含めたいい音声環境で、ボイスチャットもミックスして楽しみたい
このいずれかの方には、それなりに満足度の高い製品になっていると思います。
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