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先延ばしのリスクと今すぐ始めるための最初の一歩

先延ばしは皆さんも経験があるのではないでしょうか。
今やるべきことがあるのに、それをせずに違うことをしてしまったりしてしまうことです。
例えば、「この映画を見たらやろう」とか、「このゲームをちょっとやってからやろう」と決めていて、結局ゲームも数時間やってしまったり、映画が終わったら映画の余韻に浸ってしまったり、SNSで映画の感想なんかを調べ始めたらショート動画をだらだらとみてしまう…

私はまさにこの型にはまっています。やるべきことはたくさんあるけど、どれもこれも、ボリュームが大きすぎて、やってもすぐに片付かない。片付かないから、時間がたくさんとれる時に集中してやろうなんてことになって、ずっと先送り。
誰しもこんな経験があると思います。

今回は先延ばししてしまうことについて、質問をいただきましたので、それに対して説明していこうと思います。

目次

なぜ人は先延ばしをしてしまうのか:その心理とメカニズム

今回の質問者さんからはこんな質問をいただきました。

「特に忙しい時期には、どうしてもやるべきことを先延ばしにしてしまう癖があります。締め切りが迫っていると分かっているのに、つい簡単な作業や他のことに逃げてしまい、最終的には焦りと後悔に陥ることが多いです。
仕事もプライベートも、もっと計画的に取り組めるようになりたいのですが、「どうしたら先延ばしせずに始められるか」が分からないままです。小さなことでもよいので、日々の行動を変えるきっかけになるようなアドバイスが欲しいです。」

まず、この相談者さんは先延ばししないでやっていることがあります。それは直接的な仕事なのか、娯楽なのかはさておき、何かをしているがために、本来やるべきことが先延ばしになっています。

つまり、ここには先延ばしをする作業と、先延ばしをしない作業の二つの種類があります。大方このような内容だと推測されるので、それぞれの特徴をまとめてみました。

先延ばしをする作業

  • 多くの時間を要する作業
  • 集中力を使う作業
  • 考える時間が長い作業
  • 経験のない作業

先延ばしをしない作業

  • すぐ終わる作業
  • 簡単な作業
  • 考えなくていい作業
  • 経験のある作業

これを見れば先延ばしされやすい作業は、負荷が大きいだとか、仕事の粒度が大きいもの、進んだ実感がすぐに得にくいもの、未知のものであることがわかります。

ではなぜ、締め切りが迫っているとわかっていても、このような作業を先延ばしにしてしまうのか。

実はこれは誰にでも起こりうる、ごく自然な反応です。先延ばししてしまう作業は、すぐに達成感が得られなかったり、長時間の集中を要するものばかりです。そうなると脳内では、達成感を感じる報酬系の働きが遅くなり、その報酬が得られない状態が長く続きます。人はその時間を「つらい」と感じやすいでしょう。

そうなってくると、脳は「つらい」と分かっているので、できるだけ自分を守るために、回避行動をとります。何かにつけて言い訳を作り出し、自己を防衛しようとするのです。「これが終わったら」「あと少しだけ」などと言い訳をしながら目の前のすぐに刺激が得られるショート動画などに嵌ってしまって、時間を浪費してしまうのです。

またほかにも、どこまでやればいいかわからないものだったり、自分の中のこだわりが強すぎてずるずるとゴールを引き延ばしてしまうような作業も、自分がつかれるとわかっているため回避しようとします。完璧を求めすぎて、あまりに高すぎるゴールを設定してしまうことで、本来であればそこまで恐怖を感じないはずの作業であっても、脳はそのストレスから逃れるために回避策を多数練り上げるのです。

今まで経験が無かったり能力が追い付いてない仕事に関してもそうでしょう。仕事の遂行に必要なスキルや資格がないまま取り組むことは、その先にある失敗を想像させます。その失敗から目を背けるために、回避行動をとるのです。

このように、先延ばしをしてしまうことは、怠けているとか、面倒くさがっているとかではなく人間として自己を防衛しようとするありふれた反応の一つです。あなただけではなく、私も、会社の上司も、今も、これからもそれは続いていくものなのです。

・先延ばししてしまうもの(仕事)には一定の条件がある。
・先延ばしは誰にでもあり、脳に備わった自然な防衛反応である。
・先延ばしを感じたらどう対処するかを考えることが重要。

先延ばしが招くリスク:気づきのための視点

先延ばしをしてしまうことは誰しもが持つ普通の反応であると話しました。ここで先延ばしをすることによって顕在化するデメリットを列挙してみましょう。

先延ばしを積み重ねることで仕事の遅れ、信用が低下する

先延ばしを続けていけば、当然納期の問題と直面することが増えます。納期を延長すれば、信用にも影響が出ますし、納期ぎりぎりの達成を繰り返していれば、「あの人いつもぎりぎりだよね」といった評価につながる面でも、実害が出やすくなります。

時間的余裕がなくなり、ストレスにさらされる時間の総計が増える

仮にある作業が30時間で終わるとします。この作業を、3日先延ばしをした後、2時間ずつ、15日間かけて取り組んだとすると、「この仕事を終わらせなきゃ」というストレスを、単純計算で18日間感じ続けることになります。しかしこれを先延ばしせずに取り組むのであれば、15日間だけで済みます。当たり前の話ではありますが、相対的に3日間は余裕のある日々が過ごせます。
残り時間は、仕事の品質を高めることに使ってもいいですし、休息として考えてもいいでしょう。

生活サイクルが不安定になり、健康を害する可能性が増加する

当然、納期が迫ってくればそれに合わせるために、寝る間も惜しんで取り組むかもしれません。そのような生活が続けば、健康面でも問題を抱えやすくなってきます。また、納期が迫るにつれて生活に必要最低限のタスク(洗濯や料理)などが後回しになりやすくなり、結果衛生面で問題を抱え始めることもあり得ます。

このように先延ばしは、その先のあらゆる大きな問題へとつながっていきます。連鎖的に反応していくので、「あ、今先延ばししているな」と感じたら早めに手を打つことが必要になります。

具体的な解決策:行動を変えるためのステップ

では先延ばししてしまうことへの対策方法です。私はこの対策方法の提示はそのままやってみるという意識も大事だとは思いますが、自身で「続けられるレベルにアレンジする」という取り組みも共通して大事だと思っています。

着手を軽くする

先延ばしについてはそもそも着手が一番重く、「着手さえしてしまえば半分終わったようなもの」はよくプロジェクトの現場でも聞いた言葉です。これはズーニンの法則といって、「最初の4分間を乗り越えると継続しやすくなる」といわれいてるほどなので、先延ばしの本質は、タスクに着手するまでの心理的障壁にあると言えるでしょう。

そこで、スタート自体を軽くする方法を紹介します。

朝の習慣を利用する

毎朝やるタスクを決めておきます。例えば掃除、洗濯などです。これらをできるだけ楽しく、早く、何も考えずにやります。音楽を聴きながらできるだけサクサク進めましょう。この時の目標は、早く・楽しく終わらせることが重要です。

それが終わったら、ちょっとした楽しみを入れてください。できれば仕事をしながらできる楽しみがいいでしょう。お茶でもいいですし、コーヒーでもいいでしょう。それをもって、すぐに仕事に取り掛かってください。面白いように自然な流れでスタートができます。

外堀を埋めていく

そもそも着手が難しい仕事は、準備自体が重めの作業だったりするでしょう。そういった場合は、準備だけを小分けにして進めていきます。部材や情報が必要なものなら、その調達を数回に分けて実施します。5分ぐらいで終わるものを、小分けにして積み重ねていけば、すべてそろったタイミングが、自分の言い訳をつぶし切ったタイミングになります。

あとはもうやるだけです。ただし、「すべて揃ったらやろうね」と、あらかじめ自分自身と約束をすることもお忘れなく。

パターン別

着手はしたといっても、1回の集中で何とかなるものでもありません。小休止を挟んで何度も取り組むことになるので、持続も重要なファクターになります。着手を軽くする方法と合わせて、うまく使い分けてください。

作業量が多い作業、集中力など負荷が大きめの作業

着手と同時に、7割の完成を目指しましょう。最悪このまま提出しても大丈夫というレベルが適当です。間違いや修正ポイントはあまり気にする必要はありません。とにかく7割を最短距離、できればその日のうちにやり切ってしまうほうがいいです。
その後はクールダウンとして数日軽い作業をやって、脳をクールダウンした後、残りの3割を、少し慎重にゆっくりでいいので手を付けるような流れで進めます。
初めに7割やっている間は、見えなかった間違いや思考の広がりを取り戻すことができ、結果的に高品質なものが仕上がることが多いです。

下のグラフは、この例を「最初に一気にやる作業」というイメージをグラフにしたものです。それぞれの面積は、ストレスの総計値を表しています。この方法のいいところは、早い段階でストレスレベルを下げられるという点と、総計値が計画的なものとそう変わらない(やり方によっては下げることも可能な)ところです。

自分がこだわってしまう作業

自分の中のこだわりは、ほかの人からは気づかないポイントだったりすることを前提に、こだわりポイントが例えば3か所あるとしたら、1か所だけにしましょう。残りの2か所は、手を付ける必要はありません

こだわってしまう人の心には、「ここまでやれば安心」というラインが非常に高く設定されています。そのこだわりを追求しないと、「自分は手を抜いた」と思いがちです。ですが、それを1か所にすることによって負荷を軽くでき、「ひとつは取り組んだぞ」というプライドも持つことができます。

考える時間が長い作業

紙とペンを使います。考えた情報は頭から消えたり、複数の情報を同時に扱いにくかったりします。書き留めることで、ワーキングメモリーの補助として使うことができ、外部記憶装置として使いながら整理していくことができます。形式にとらわれる必要はありません。ノートだとするなら、罫線も無視して自由に書くのが良いと思います。私はよくコピー用紙の裏紙を使います。エコですし。

経験のない作業

とにかくまず手を動かしましょう。最初は自分の思考もまとまらず、完成イメージもない中でやる作業は不安ですが、完成品とは別に、手を動かすことから始めるといいと思います。作業がもし形になるものであれば、試作品としてなんでもいいので形にとらわれず作ってみましょう。この時読み手や受け取り手の気持ちを考える必要はありません。アウトプット優先です。

ドイツの哲学者カントは「手は突き出た大脳」と呼称した通り、多数の神経細胞が入り乱れています。そのため脳との結びつきも強く、動かすことで脳を刺激することができます。手を動かすことで脳が活性化され、完成イメージが無かったものですら、形らしいものが見えてきます。

どれもこれも、私が本、カウンセラー、医師などから知った情報を、私なりにできる方法でアレンジしたものです。
今となっては手放せないツールたちとなりました。
もしこれを読まれている方でも、まったく同じものにする必要はありません。自分なりの解釈、アレンジを加えて、オリジナルの方法を見つけ出すことも、大切なプロセスだと考えます。

総括:先延ばしを克服して得られるもの

先延ばしは誰にでもあるものです。怠け者だから起こるのではなく、人間としてごく自然な反応です。ですが、どう向き合うか、どう対処するかという自由は残されています。
何事にも共通していますが、ある程度の開き直りは必要です。品質の過剰追求もいいですが、世の中完璧な人間がいないように、完璧な製品も存在しません。メタ・プラットフォームズ(旧:Facebook)の創設者もこう説いています。

完璧を目指すよりまず終わらせろ
“Done is better than perfect.”

マーク・ザッカーバーグ

私が思うに、おりこうさんほど先のことを想像してあれこれ思案できてしまうと思うのです。そして不安な要素ばかり拾い上げてしまう。そうなると先延ばしの要素として大きく立ちはだかることになるかもしれません。
できることなら、その心配事に使う脳を、仕事や成果に向けて使いたいですよね。今回の施策たちは、その手助けになると思います。

何事もそうですが、最初からうまくいく必要はありません。できることから、できるレベルから始めましょう。

この記事が、誰かの自分なりの正解を見つけるヒントになれば幸いです。

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