Synology NASの標準バックアップ・リストア機能であるHyper Backupでファイルの復元時にエラーが出る問題を解消しました。
今後、同じ問題に遭遇した際の対策について取り上げました。
先日、Synology DS423+ NASのRAID設計見直しの関係で初期化などをしたあと、バックアップからデータをHyper Backupで復元しようとした際に不吉なメッセージが表示されました。
「ネットワーク接続が不安定であるか、またはシステムがビジー状態であるためこの操作が実行できません。」
NAS本体は初期化済み、頼みの綱はバックアップしていた外付けHDDなのに、これに入っているデータが復元に使えないとなるとオールロストの危険があります。
この仕事をしていると、バックアップデータが何らかの理由で復元できないことは特に珍しいことではなく、それゆえにRAIDの過信は恐ろしいというものなのです。(実際には初期化のためにもう一つバックアップしてあった)

今回はこの問題を解決したので備忘としても残しておこうと思います。
エラーに至るまでの操作
初期化した後、ウィザードに従ってボリュームとユーザーを作りました。Virtual Machine Managerをインストールしたりして、その後、Hyper Backupをインストール、復元しようと考えていました。
- 初期化
- ユーザー作成
- ストレージプール・ボリューム作成
- Virtual Machine Managerインストール
- Open vSwitch有効化
- Hyper Backupインストール
その後、復元作業をしていくタイミングで、開始直前に「ネットワーク接続が不安定であるか、またはシステムがビジー状態であるためこの操作が実行できません。」と表示され、外付けHDD4台に保存されたバックアップからの復元ができない状態になりました。
まずは愚直にメッセージ通りの対応
最初はメッセージ通り、ネットワークを疑いました。Open vSwitchの影響を考え、こちらを無効化しました。そのタイミングでVirtual Machine Managerもアンインストールしていますが、どちらも事象に変化はありませんでした。
もう一つはシステムがビジー状態であるとのことだったので、再起動も試しました。2回ほど試したり、バックアップ用の外付けHDDも復元対象ではないものを取り外したりして、最低限のものにしました。それでも変化なし。
情報を探しても少なく、一つあった情報では「バックアップイメージが壊れた」ということでできれば信じたくない情報でした。
外付けHDD4台にまたがってバックアップを取っていたので、その4台すべてのバックアップイメージが同時に壊れるはずはないということでこれは可能性として排除。
以前復元したときの条件を思い出す
実は一度復元した後の初期化だったので、その時の条件を思い出しました。
- ユーザーは未作成(初期のadminのみ)
- 共有フォルダ作成済み
- DSMのバックアップ取得済み(システム構成バックアップファイル・.dssファイル)でそちらからDSMのみ復元後
ここで今回も同じ条件にするために、DSMのバックアップからDSM設定を復元してみることにしました。
DSMのバックアップから設定を復元すれば、共有フォルダも、ユーザーもバックアップ時点の状態に戻ります。
DSMバックアップファイルからユーザーの状態とフォルダの状態を再現する試み
DSMのバックアップを復元しようとしたところ今のTaroというユーザーを、DSMのバックアップデータ内にいるTaroで上書きをする旨のエラーが発生して、リストア失敗しました。
名前も同じだからそうなるものなのかなとは思って、今度はWorkManという作業用ユーザーを作ってチャレンジしてみました。すると、Hanakoを上書きするぞとのこと。ここで、ユーザーの内部IDで制御している気がしてきたので、WorkManXをさらに作って試したら、やはり。

名前が違うのに上書きをするとなるとユーザーの内部IDでしかありません。
ここでひらめき、上書きなどの動作の外にあると思われるAdmin(初期設定用ユーザー)を使って復元作業をすることにしました。
今まで作ったユーザーはすべて削除し、Adminで作業してDSMバックアップの復元を実施したところ、成功しました。
当然、DSMバックアップファイルが復旧したので、空ですが共有フォルダもこの時点ですべて復元しています。
ようやく、Hyper Backupの復元作業に復帰
ユーザーもそろい、入れ物である共有フォルダもそろった状態で、Hyper Backupから復元したところ、先ほどのメッセージが出ることなく、復元完了しました。
トラブル防止策

今回は、メッセージの内容を愚直に追っていたら迷宮入りしていたかもしれません。
「ネットワーク接続が不安定であるか、またはシステムがビジー状態であるためこの操作が実行できません。」
Hyper Backupで復元しようとして、このメッセージが出て復元ができなかった場合は、今回のことを踏まえ以下のポイントで復元をチャレンジするといいと思います。
・バックアップデータを復元する先の共有フォルダを作成しておく
・作成したユーザーは削除し、Adminで作業する
・バックアップ時のユーザーと同じ状態にする(これはおそらく)
・DSM自体のバックアップも取っておく(これもおそらく)
まとめ
SynologyのNASを利用していれば、Hyper Backupはほぼ必須の機能です。外付けHDDにバックアップをすることで、もし本体側のRAIDで許容できない障害が起きたとき、このHyper Backupによるバックアップが役に立ちます。
しかしその肝心かなめの最後の砦が、何らかの問題で使えないとなると、バックアップを信用することができなくなってしまいます。
今回は復旧可能な範囲のエラーで助かりましたが、バックアップ設計を改めて考える必要があるのではと思うような事象でした。例えば単純なファイルコピーを利用した単一世代のファイルバックアップを併用するのも手です。ただし、外付けHDDが併用する分だけ必要にはなりますが…
思い出はお金で買い戻すことはできないので、いずれ私も何らかの対策を講じようと思います。
ほかのSynologyユーザーの参考になれば幸いです。ここまで読んでいただきありがとうございました。
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