HHKBを尊師スタイルで使用するためにキーボードブリッジを純正の半額で作成依頼しました

2021年11月25日

HHKBはそのコンセプトから、「どの端末でも、いつでも、どこでも」という使われ方が多いようです。馬の鞍の話につながるわけですね。そのためか、アクセサリもHHKBの使われ方を体現しているように思います。それがまたブランドの独特な世界観を形成しているんですよね。
独特の使われ方である尊師スタイルも、HHKBのブランドを形成するのに一役買っているかと。尊師スタイルとは、HHKBをノートPCで使う際に、内蔵キーボード部にHHKBを乗せて使うことを指します。
しかしこの尊師スタイル、誤入力なく実現するのは結構難しかったりします。HHKBは裏面に滑り止めのゴムがあり、これがキーを打ったときに本体のキーボードを押下してしまうなどが起こったり、重さで一定のキーが常に押された状態になったりします。対策としては、本体内蔵のキーボードを無効化する、キーボードブリッジを使うといった方法がありますが、接地面も安定してHHKB本来のタイピングプレジャーを味わうにはやはりキーボードブリッジが一番かと思います。

しかしその値段は結構しますので、アクリル加工を依頼することにしました。その方が自分の使うノートPCにサイズが合わせられますからね。

まずは実機で採寸

ほとんどのノートPCはキーボード搭載位置はくぼんでいます。周辺のくぼんでない場所にキーボードブリッジの足を載せる前提で、少し大きめを想定して採寸します。横はその分スピーカーグリルをふさぐ形になるとは思いますが、そこまで問題はないと思うので295mmとしました。

奥行き採寸では、ヒンジ部にあたること、タッチパッドはよけることを考えます。タッチパッドをよける部分以外で奥行き135mmにして、タッチパッドをよける部分では125mmとしました。

図面作成

図面と聞けば聞こえはいいですが、手書きです。汚いのであまりお見せしたくはないのですが(笑)、発注する際、このレベルの図面でまったく問題ありませんでした。タッチパッドにかかる部分の幅は余裕をもって155mmとしています。角部はすべてR3(半径3mmの円形加工)で処理する指定にしました。厚さは3mmです。

委託先アクリル加工業者について

私が10年ほど前に組んだPCのケースで、当時大人気だったAntec P182というものがあります。静音ケースの金字塔といっても差し支えないでしょう。独特な構造と確かなエアフローに静音性が加わった秀逸な製品でありました。

今では当たり前になったサイドパネルのシースルー仕様ですが、当時は限られたモデルでしかシースルーモデルはありませんでした。当然、静音ケースとして登場したAntec P182はシースルー仕様は用意されませんでした。

しかし裏配線という概念の確立、デュアルチャンバー構造など、中を見せるにはとても都合のいいケースでした。当然私もそう思い、サイドパネルの加工にチャレンジしました。

前置きは長くなりましたが、この時に製作をお願いした「はざいや」さんに依頼しました。実に12年ぶりの依頼です。常連じゃないので、12年だからなんだという感じですが…図面と厚さと色の指定を送付して、届いた見積もりに対してクレジットカードで支払うことができました。

約一週間後、製作依頼していたものが届く

社会情勢的に、標準納期とされる1週間を超えてくると思っていたのですが、1週間で届きました。で、届いたものがこちら。

きちんとはがしにくいほどに保護された保護シートに包まれ届きました。エッジ加工も素晴らしくクリアでこれなら純正キーボードブリッジにも負けてないといえるでしょう。もちろん純正は純正で素晴らしいとは思いますが、私にはこれで十二分でした。

保護シートをはがすとその高品質感は一層高まります。今回はアクリルの中でも安価な「押し出し」タイプを指定しましたが、これでも大変美しいです。

滑り止め用の脚を取り付ける

アクリル板だけではもちろん滑ってしまって使いにくいですし、キートップにも接触してしまうため、目的である誤作動の防止を果たせませんので脚となるものを貼り付けます。今回は百円ショップで見つけたポスター用の粘着剤を使用してみました。

透明度も高く、張り付くことさえできればがっちりとグリップするため、今回のChromebook 14aではほぼベストと思われましたが、別のモバイルノートで試したところ、これでは厚さが足りず、キートップで滑ってしまい、目的を果たせませんでした。より高さを持たせたものをホームセンターで探し、以下のものに貼り替えてみました。

滑り止めについての言及はありませんが、グリップ力も素晴らしく、4か所に取り付けただけで、水平方向に力をかけても位置ズレはほとんど起こりませんでした。この手の製品の割には透明度も高く、貼り付けると別パーツ感がかなり少ないところも好印象です。アクリルの一体成型感があります。

最高の尊師スタイルの完成

3mmの厚さは正解で、たわみが問題になることもなく、最高の入力環境がアップデートできました。惜しむらくはこのノートPCの電源ボタンがキーボードにあることですね。電源のONをするのにキーボードブリッジが邪魔になります。とはいえ、Chromebookは閉じた状態から開くと自動でONになりますし、しまうときは当然閉じている状態ですから、実害は少ないかもしれません。

これは純正も同じなのですが、気を付けなくてはならないポイントとして、キーボードブリッジを残したまま、クラムシェルを閉じるとおそらく液晶パネルが割れることでしょうか。そういう意味では物が乗っていることを直感的に気づきやすい色つきのアクリルで制作を依頼すればよかったかなと思っています。サイズも少し大きめになってしまいました。HHKBの滑り止めフットが完全に乗るだけでいいので、縦も横ももう少しサイズを落とせそうな気がします。

特に奥行き方向の電池ボックスは、キーボードブリッジに乗っている必要はありませんから、もう少しサイズが詰められる気がしますね。

多少の手間はかかるが試行錯誤を楽しめるなら選択肢としてアリ

HHKBは快適に入力できるキーボードですから、できる限り思考にノイズを生む要素は排除したいと思い、今回のアクリル板製作を依頼しました。結果としては半額以下で同等の機能を持つものが手に入り、満足しています。

サイズがもう少し小さくてもよかったとか、色があったほうがよかったとかそういった些細な失敗はありましたが、これをベンチマークとして、別のノートPCで使うものはさらにブラッシュアップできるのではと思っています。

そもそも、ノートPCに合わせてサイズをオーダーメイドできる点も汎用サイズ1種の純正にはない美点です。その分、採寸などは必要になりますが。

また今回記事にはしておりませんが、13.3インチモバイルノートでも使用できることが確認できました。やはりどこか「もう少し!」といったポイントが残りますが、機能的には問題なく果たしてくれています。

HHKBを尊師スタイルで愛用中で、さらにいいものを目指したいという試行錯誤が楽しめる方には、ぜひともお勧めしたいと思います。

デバイス

Posted by Keisuke